ふじみ野うさぎハウスの譲渡方針について ~より多くの命を、より確実につなぐために~

最近、ふじみ野うさぎハウスの「譲渡方針」について、さまざまなご意見やご質問をいただくことが増えてきました。
ご不安や疑問の声も含めて、私たちの活動を真剣に見つめてくださっていることに心から感謝しています。

今回は、私たちがどんな想いで譲渡活動を行っているのか、その背景や方針について改めてご紹介させていただきます。


目次

譲渡のハードルは、できるだけ低く

ふじみ野うさぎハウスでは、里親さんになるための手続きや条件をできるだけシンプルにしています。

多くの保護団体さんでは、家族全員との面談、自宅訪問、定期的な近況報告などを求めることが一般的です。
どれも、動物たちの幸せを願って行われている尊い活動であり、私たちも大きな敬意を抱いています。

一方で、私たちはあえて異なる方針をとっています。
なぜなら、いま保護を必要としているうさぎさんの数が、里親希望者よりも圧倒的に多いからです。


少ないリソースで、より多くの命をつなぐために

私たちは、譲渡にかかる手続きやコストをできるだけ簡素化し、譲渡の条件やハードルを極力なくすことで、
1日でも早く譲渡につなげ、1日でも早く次のうさぎさんを保護できる体制を目指しています。

限られたスペース、人手、時間の中で、
「1匹を早く譲渡すること」が、そのまま「次の1匹を救う力」になると私たちは考えています。

もちろん、これはうさぎさんを雑に扱うということでは決してありません。
すべてのうさぎさんに対して、

  • 清潔な環境
  • 適切な食事
  • 健康管理
  • そして何より、愛情あるケア

を欠かさず行っています。

そのうえで、譲渡のハードルをあえて下げることによって、
「限られたリソースで、より多くの命をつなぐ」

これが、私たちが信じる保護のあり方です。

さらに、私たちは毎週のように譲渡会を開催し、
保護うさぎさんの存在をこれまで知らなかった方々にも知っていただけるよう、積極的に広報活動を行っています。

ペットショップでお迎えを検討されている方にも、保護うさぎさんという選択肢を届けることで、
命をつなぐ一つの手段になると信じています。


「譲渡の審査が簡素すぎるのでは?」というご意見について

「覚悟のない人がお迎えしてしまうのでは?」
「また手放されてしまったら、うさぎさんが可哀想では…?」

こうしたお声をいただくこともあります。
どれも、うさぎさんの幸せを願ってくださるからこそのご心配であり、私たちも真摯に受け止めています。

たしかに、環境の変化はうさぎさんにとってストレスになることがあります。
ですが、それ以上に深刻なのは――
「そもそも保護されることなく命を落としてしまう」うさぎさんが今も後を絶たないという現実です。

現在も、毎日のように「保護してほしい」というご連絡をいただいています。
しかし、私たちの保護スペースはすでに限界を超えており、新たな受け入れを制限せざるを得ない状況です。

すでに気温が30度を超えるような日もあるなか、
屋外の小屋で飼育されているうさぎさんを一刻も早く迎え入れたいと思っていても、物理的に受け入れられない現実があります。

そしてその間に、命を落としてしまううさぎさんが確実に発生します。

いま保護している子たちを1日お世話するということは、
そのぶん、外にいるうさぎさんのお迎えが1日遅れることと同じです。
私たちは、そうした現場のリアルと日々向き合っています。


はじめての方も、迷っている方も──戻れる場所があるという安心

ふじみ野うさぎハウスでは、「飼い続けられなくなったうさぎさんを受け入れる」受け皿としての役割も担っています。

これは、万が一に備える“保険”であり、
また、「うさぎさんと暮らしてみたいけれど、不安があって踏み出せない」方にとっての安心材料にもなります。

すべての人が、最初から完璧な知識や覚悟を持っているわけではありません。
けれど、だからといってその一歩をためらってほしくはないのです。

その一歩が、うさぎさんの命をつなぐことに直結すると、私たちは信じています。

実際、ペットショップでのお迎えでは、
いったん連れて帰れば「終生飼育」が前提となり、キャンセルや返品は基本的にできません。

もちろん、動物と暮らす以上、「最後まで責任を持つ」ことは当然の大前提です。

ですが、ふじみ野うさぎハウスでは、
「どうしても続けられなくなったときは、戻ってこられる」という選択肢を用意しています。
加えて、これまで飼育されていたうさぎさんの引き取りも行っており、
「事情があって一度は手放さなければならない方」の受け皿にもなっています。

さらに、ふじみ野うさぎハウスから保護うさぎさんをお迎えいただいた里親さんには、
飼育用品や飼育本のプレゼントなどを通して、できるだけ負担なく安心して迎えられる仕組みも整えています。


間口を広げることは、命を救うこと

私たちは、この**“間口の広さ”こそが、一匹でも多くのうさぎさんを救うための、現実的で持続可能な方法**であると信じています。

一匹でも多くのうさぎさんに、新しい居場所を。
一人でも多くの方に、新しい家族との出会いを。

そのチャンスを少しでも広げていくことが、命をつなぐ道へとつながっていきます。

そして、うさぎさんとの暮らしを楽しむ方が増えれば、
自然とうさぎさんへの社会的な関心も高まっていきます。
それこそが、私たちが目指す「うさぎとひとの幸せを支える」活動の、本質的なかたちです。

もちろん、関心が高まれば、新たな課題も生まれます。
うさぎさんを飼う人が増えれば、不適切な飼育が起こるリスクも高くなるかもしれません。

けれど私たち保護団体・保護活動者は、そのリスクを理由に間口を狭めてしまうのではなく、
「不適切な飼育の割合を減らし、適正な飼育を広める」ために、サポートや啓発活動を行うという役割を担っていると考えています。

「うさぎさんは飼うのが大変」「覚悟が必要」と伝えることももちろん大切です。
ですがそれだけでは、これからうさぎさんとの暮らしを考える人の数は減ってしまいます。
関心が薄れ、飼育数が減れば、“うさぎと人が共に暮らす文化”そのものが細り、消えてしまうかもしれません。

それは、私たちが目指す未来ではありません。

私たちは、今はまだ、うさぎさんとの暮らしを知らない方にこそ、うさぎさんの魅力を届けたい。
それも未来のうさぎさんたちの「生きる場所」を増やすために必要な、保護活動の大切な一面だと信じています。

だから、これからもがんばります。
一匹でも多くのうさぎさんの命をつなぐために、
そして、うさぎさんとひとの明日がもっと幸せになるように。

2025年6月20日
一般社団法人うさぎとひとの幸せを支える会
代表理事 新井 大和

一般社団法人うさぎとひとの幸せを支える会|保護うさぎさんとうさぎグッズのお店ふじみ野うさぎハウス
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